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被害の実態・おそれ |
生態系にかかる影響 |
ハリエンジュが侵入した林では、好窒素性草本や、林縁・マント性つる植物が増加するのにともない群種の種多様性が減少することが報告されている。生活力が旺盛で、海岸の松林を駆逐するほどとされる。
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農林水産業への影響 |
馬などの家畜が樹皮を食べると、中毒を起こす。
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人の健康への影響 |
不明
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被害をもたらしている要因 |
生物学的要因 |
非常に生長が早く、耐暑性、耐寒性、耐乾性があり土壌を選ばない。実生による繁殖は旺盛である。土壌シードバンクを形成する。親株を中心に地下に伸びた根より萌芽して群落をつくり切株からの萌芽も旺盛である。空中窒素の固定を行うため土壌が富栄養化する。有毒成分としてロビン、ロビチンなどが報告されているが、詳細は不明である。
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社会的要因 |
過去の緑化施工地からの逸出や分布拡大により、山腹、渓流、河原、海岸、放棄耕作地などに侵入している。砂防林や薪炭材として導入され、良質の蜜源植物としても広く利用されている。
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特徴並びに近縁種、類似種 |
マメ科の落葉広葉樹。ハリエンジュ属は世界で約20種が知られる。日本に自生種はない。本種以外に野生化の報告はいまのところない。ハリエンジュより花が大型のハナエンジュを別種とする文献と別名とする文献がある。北海道等で、ニセアカシアがアカシアと誤称されているが、本来のアカシア(ネムノキ科Acasia farnesiana)とは異なる。エンジュSophpra japonicaに似ているが、針(トゲ)があるので、ハリエンジュとよばれる。 |
対策 |
砂防林や薪炭材として導入され、良質の蜜源植物としても広く利用されている。しかし、各地の河川や海岸などでは繁茂し、希少植物を含む在来植物を駆逐するおそれがある。影響の大きい場所では積極的な防除または分布拡大の抑制策の検討が望まれる。 |
その他の関連情報 |
木本類の枯殺方法の一つである「巻き枯らし」では簡単に枯れない。汚染・裸地化が進み、煙害のある荒廃地(足尾)の例においても、初期生長や残存率が高いなど、環境への適応力が大きい。土砂の流出を抑制する能力が高い。
特定植物群落調査の追加調査では、変化要因の一つとして、東京都多摩川などの河辺植生へのハリエンジュの侵入があげられた。 |