オオクチバス
  魚類 ⁄ 国外外来種
オオクチバス
目名 スズキ目
科名 サンフィッシュ科
種名(亜種名 オオクチバス
学名 Micropterus salmoides
地方名 ブラックバス(混称)
カテゴリー 北海道 C
環境省 特定外来生物
ワースト100 日本の侵略的外来種ワースト100(日本生態学会) / 世界の侵略的外来種ワースト100(IUCN)
*)亜種が問題となっている場合は、カッコ内に亜種名を記載しています。
●種名が特定できないものについては、「○○○の一種」と記載しています。

導入の経緯

原産地 五大湖からアメリカ東部とメキシコ北部(*2)
導入年代 本道には1999~2000と推定
初報告 2001年
全国分布 全国
道内分布 南幌町・通称「南幌温泉沼」や余市ダム、大沼などで確認記録あり(*1)。
導入の原因 遊魚目的の密放流によって拡散したと推察される(*3)。

種の生物学的特性

生活史型 淡水型、汽水型
形態 吻端から尾鰭基底にかけての体側中央に、黒褐色の斑紋が並ぶ。和名のとおり口が大きい。原産地においても、地域によっていくつかの亜種に分類されている。我が国への導入当初は、カリフォルニア産であったが、1970年代にはペンシルバニア産とミネソタ産、2000年頃からはより大型になるフロリダ半島亜種が導入されはじめた。これらは側線上の鱗数の違いや、黒褐色斑の発現の仕方で判別されている(*3)。
繁殖形態 多回産卵型。水温が16℃に達するころに産卵期を迎える。水深0.5~1mほどの礫底に、オスがすり鉢状の産卵床を掘り、そこにメスを迎えて産卵する。オスは産卵後もその場に留まり、卵が孵化して仔魚が遊泳しだすまでの1ヶ月間、保護する。一方、メスは繁殖期間中に複数のオスと産卵を行う。
生息環境 河川の中流から下流と自然湖沼、ダム湖など。
特記事項 南幌町・通称「南幌温泉沼」を最後に駆除が完遂、道内からは根絶されたといわれている(*1)。しかし、これらはかつて明らかに生息が確認された場所についてのみであり、他所にも生息している可能性が払拭できないこと、また定着していた場合の生態的影響が甚大であることから、カテゴリーCとする。

影響

被害の実態・おそれ 生態系にかかる影響 上位捕食者として魚類のみならず、多くの水圏生物に捕食被害を及ぼす。特に、狭い閉鎖水域ではゲンゴロウ類など貴重な昆虫などに対しても無視できない影響を与えている。
農林水産業への影響 琵琶湖等では、ニゴロブナなど内水面漁業における主要な水産資源に対し、壊滅的な被害を与えたとされる。
人の健康への影響 不明
被害をもたらしている要因 生物学的要因 1)強い肉食性であり、上位捕食者として多くの水圏生物に捕食圧をかけること。2)ひとつの産卵床に5,000~11,000粒も産卵し、それを期間中に複数回繰り返すなど、旺盛な繁殖力をもつため。
社会的要因 雑誌や釣具メーカーの主力市場として、バス放流の拡大路線が敷かれ続けたこと、長年にわたりさらに密放流が規制されなかったことによる。
特徴並びに近縁種、類似種 同科のブルーギルには、濃紺色の大きな斑紋があるが、本種にはない。コクチバスとは、主上顎骨後端が眼の中央下を越えることで判別可能(*3)。
対策 北海道内水面漁業調整規則の移殖放流禁止対象魚。
その他の関連情報 特になし

写真・イラスト

備考

備考  

参考文献

参考文献 Lee, D.S. et al. 1980. Atlas of North American freshwater fishes. 867 p. North Carolina State Museum of Natural History, Raleigh.
工藤智.2002.北海道2001年ブラックバス調査事始.魚と水,(38),7-18.
環境省自然環境局生物多様性センター.2002.生物多様性調査動物分布調査・淡水魚類報告書.545p.
丸山為蔵・藤井一則・木島利通・前田弘也.1987.外国産新魚種の導入経過.147p.水産庁研究部資源課・水産庁養殖研究所,東京.
日本生態学会編.2002.外来種ハンドブック,390p,地人書館,東京.
日本魚類学会自然保護委員会.川と湖沼の侵略者ブラックバス-その生物学と生態系への影響.150p.恒星社厚生閣,東京
(*1)北海道水産孵化場 内水面資源部 河川湖沼科.2008.内水面外来魚実態調査.H19事業成績書( 抜粋),北海道水産孵化場
(*2)伊藤富子・工藤智et.2005.炭素窒素同位体判別法により推測した北海道への移入種オオクチバスの植生変移.北海道立水産孵化場研究報告,59号,p.11-20
(*3)松沢陽士・瀬能宏.2008.日本の外来魚ガイド.P80-87, 文一総合出版,東京
大沼国定公園・バス初確認からの経緯:http://www7.plala.or.jp/PreciousField/bass/case/chronology/01_marunuma.htm