セイヨウオオマルハナバチ
  昆虫 ⁄ 国外外来種
セイヨウオオマルハナバチ
目名 膜翅目
科名 ミツバチ科
種名(亜種名 セイヨウオオマルハナバチ
学名 Bombus terrestris
カテゴリー 北海道 A1
環境省 特定外来生物
ワースト100 日本の侵略的外来種ワースト100(日本生態学会) 
*)亜種が問題となっている場合は、カッコ内に亜種名を記載しています。
●種名が特定できないものについては、「○○○の一種」と記載しています。

導入の経緯

原産地 ヨーロッパ(オランダまたはベルギー)
導入年代 1991年
初報告 1996年日高にて自然巣を発見
全国分布 27都道府県(*1)
道内分布 118市町村(2010年3月現在)で確認(*2)
導入の原因 ビニールハウス内での花粉の受粉のために導入

種の生物学的特性

生活史型 完全変態
形態 胸部・腹部のそれぞれが鮮やかな黄色と黒の縞模様で、腹部第5節から先端までは白色。この斑紋は、女王バチ、働きバチ、雄バチでほとんど変わらない。花蜜を餌とし、蜜源植物の対象は広い。但し、中舌が短いため、蜜源が深い花の場合、根元に穴を開けて蜜を吸う盗蜜を行う(*1)。
繁殖形態 土中で営巣して大きなコロニーを作る。新女王が越冬。
生息環境 やや開けた草地や林間など
特記事項 特になし

影響

被害の実態・おそれ 生態系にかかる影響 盗蜜によるエンゴサク類の種子生産阻害や在来マルハナバチとの交雑による生殖攪乱のおそれ。ポリプダニ媒介による在来マルハナバチの駆逐(*1)
農林水産業への影響 不明
人の健康への影響 刺傷
被害をもたらしている要因 生物学的要因 エンゴサク類等野生植物の種子生産阻害は、本種が短舌であるため、花弁の脇に穿孔することによる。在来種オオマルハナバチとは、すでに交雑が確認されている。本種に寄宿するポリプダニはヨーロッパ系統であり、在来マルハナバチは耐性が備わっていない可能性がある。また、マルハナバチ属は有毒の刺針を持つため、刺された場合は痛み、腫れ等の症状を引き起こす。
社会的要因 トマトを中心とした受粉用に短期間のうちに大量に導入されたことによる(*1)。
特徴並びに近縁種、類似種 道東にのみ生息するノサップマルハナバチと酷似する(*1)。
セイヨウ情勢北海道のマルハナ(PDF)にリンクします。
対策 駆除事業およびボランティアによる捕殺が実施されている。また、現在は受粉用に本種を用いる場合は、定められた設備を設置した上で、環境省の許認可を受けることが義務づけられた。なお、本州では外来生物法施行以降は、本種に代わりクロマルハナバチ(国内外来種)の利用に置き換わりつつある(*1)。
その他の関連情報 環境省、保全生態学研究会(代表:東京大学 鷲谷いずみ教授)と連携し生息情報収集を継続中(*2)

写真・イラスト

備考

備考  

参考文献

参考文献 (*1)多紀保彦.2008.日本の外来生物.p196,平凡社,東京
(*2)東京大学・保全生態学研究会.2008.セイヨウオオマルハナバチモニタリング活動結果報告書
鷲谷いづみ他(1997). マルハナバチ・ハンドブック,文一総合出版.