テン
  哺乳類 ⁄ 国内外来種
テン
目名 ネコ目
科名 イタチ科
種名(亜種名 テン
学名 Martes melampus
カテゴリー 北海道 A2
環境省  
ワースト100   
*)亜種が問題となっている場合は、カッコ内に亜種名を記載しています。
●種名が特定できないものについては、「○○○の一種」と記載しています。

導入の経緯

原産地 日本(本州、四国、九州、淡路島、対馬(ツシマテン))、朝鮮半島南部(*4)
導入年代 1944年(*2)
初報告 1975年(*1)
全国分布 北海道、佐渡(*4)
道内分布 渡島、檜山、後志、胆振、石狩西部など石狩低地帯より西の道央・道南に限られるようであるが、クロテンとの見分けが難しいことから詳細は不明
導入の原因 1940年代に本州から持ち込まれた毛皮養殖用飼育個体の逃亡・遺棄と推測される(*5)。

種の生物学的特性

生活史型 子は約2ヶ月間母乳で育ち、4ヶ月後には成獣の大きさとなるが、分散等については不明
形態 頭胴長45cm、尾長19cm、体重1.1~1.5kg。耳介がはっきりと外に出ること、前臼歯が4/4であることからイタチ類と区別可能。毛色は黄色から褐色まで変異が大きい(*4)。
繁殖形態 交尾期は7~8月で、妊娠期間は着床遅延を含めて8~9ヶ月。出産は4~5月で、2~4頭の子を産む。巣は、岩穴、樹洞、人家・神社の屋根裏など(*3,4) 。
生息環境 針広混交林、針葉樹林、下部広葉樹林や湿生林、河辺ヤナギ林を中心とする森林、樹木があれば人家周辺にも見られる(*4)。
特記事項 特になし

影響

被害の実態・おそれ 生態系にかかる影響 直接捕食による齧歯類、鳥類、両生類、爬虫類、昆虫類、ムカデなどの土壌動物への影響。在来種エゾクロテンとの遺伝的攪乱、及び競合による駆逐(*5)。
農林水産業への影響 カキ、ミカン、ブドウなど果樹類などへの食害(*2,3)
人の健康への影響 不明
被害をもたらしている要因 生物学的要因 幅広い食性、天敵の不在
社会的要因 毛皮目的での飼育、1920年以降は保護獣として狩猟を禁止(*5)
特徴並びに近縁種、類似種 在来の近縁種エゾクロテンとの違いは、尾先の毛色の違い(クロテンは体色と比較して黒っぽい)と尾率の違い(テンは、体長に比する尾長の割合が大きい)で区別されるが、毛色の個体変異が大きく、野外でのクロテンとの見分けは困難
対策 狩猟獣(ツシマテンを除く)
その他の関連情報 特になし

写真・イラスト

備考

備考  

参考文献

参考文献 阿部永 (1994) 「北海道の帰化動物」、北海道の自然と生物 9巻1-9頁
阿部永ほか (1994) 、日本の哺乳類:東海大学出版会
野生生物保護対策検討会移入種問題分科会 (2002)、移入種(外来種)への対応方針について
池田透 (1998) 「移入哺乳類の現状と対策」、遺伝 52巻5号37-41頁
自然環境研究センター (1998)、野生化哺乳類実態調査報告書
哺乳類保護管理専門委員会 (1999) 「移入哺乳類への緊急対策に関する大会決議」、哺乳類科学 39巻1号115-129頁
(*1)犬飼哲夫 (1975) 「キテンとにせカワウソ」、北方動物誌:北苑社 148-151頁
細田徹治・鑪雅哉 (1996) 「テンとエゾクロテン」、日本動物大百科 哺乳類Ⅰ:平凡社 136-139頁
(*2)北海道開拓記念館 (1981) 「野幌丘陵とその周辺の自然と歴史」、北海道開拓記念館研究報告 6巻
細田徹治 (2002) 「テンとエゾクロテン」、外来種ハンドブック:地人書館 71頁
Murakami,T,and N,Ohtaishi,2000.Current distribution of the endemic sable and introduced Japanese marten in Hokkaido.Mammal Study 25:149-152
Murakami,T,and N,Ohtaishi(2000),Current distribution of the endemic sable and introduced Japanese marten in Hokkaido.,Mammal Study 25,25巻,号,pp.149-152
(*2)細田徹治(2002),テン,外来種ハンドブック,日本生態学会編,地人書館,p.71
(*3)細田徹治・鑪雅哉 (1996),テンとエゾクロテン,日本動物大百科(哺乳類Ⅰ),,平凡社,pp.136-139
(*4)米田政明(1994),テン,日本の哺乳類,阿部永ほか,東海大学出版会,p.119
北海道開拓記念館(1981),野幌丘陵とその周辺の自然と歴史,北海道開拓記念館研究報告 6巻,,北海道開拓記念館,
野生生物保護対策検討会移入種問題分科会 (2002),,移入種(外来種)への対応方針について,,野生生物保護対策検討会移入種問題分科会 ,pp.1-9
(*5)小樽市博物館(2003),,「第55回特別展 外来生物とみなとまち小樽」展示解説書,,日本財団,48pp