哺乳類 ⁄ 国内外来種 | ||||
ニホンイタチ | ||||
目名 | ネコ目 | |||
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科名 | イタチ科 | |||
種名(亜種名*) | ニホンイタチ | |||
学名 | Mustela itatsi | |||
カテゴリー | 北海道 | A2 | ||
環境省 | ||||
ワースト100 | 日本の侵略的外来種ワースト100(日本生態学会) | |||
*)亜種が問題となっている場合は、カッコ内に亜種名を記載しています。 ●種名が特定できないものについては、「○○○の一種」と記載しています。 |
原産地 | 日本(本州、九州、四国、佐渡、隠岐諸島、伊豆大島、淡路島、小豆島、壱岐、五島列島、屋久島、種子島)(*5) |
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導入年代 | 明治初期(*5) |
初報告 | 明治34年(*5) |
全国分布 | 北海道、三宅島、八丈島、宮崎県青島など |
道内分布 | 北海道全域(*2,5)、利尻島、礼文島、奥尻島(*4) |
導入の原因 | 明治初期、偶然函館港に侵入したものが北上したものと推測される(*5)。離島へはネズミ被害防除を目的とした意図的導入が原因(*4)。 |
生活史型 | 年1回出産し、2ヶ月ほどの子育ての後、秋に子は分散する。交尾期と子育て期以外は単独で生活する。 |
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形態 | 頭胴長:オス296-355mm、メス190-219cmm、尾長:オス12~16cm、メス7~9cm、体重:オス384-790g、メス95-100gで、性的二型が明確(*13)。全身山吹色で鼻鏡部にかけて濃褐色の斑紋がある(*2,12)。 |
繁殖形態 | 交尾期は4~5月、妊娠期間は37日で、平均3~5頭の子を産む(*12)。 |
生息環境 | 針広混交林・針葉樹林・下部広葉樹林・湿生林・河辺ヤナギ林などを中心とした森林・ササ植生・自然草原・防風林・耕作地・市街地に広く生息するが、近年、都市化の進んだ地域では分布域が後退している(*11)。 |
特記事項 | 特になし |
被害の実態・おそれ | 生態系にかかる影響 | 直接捕食によるネズミ類、昆虫類、鳥類、カエルなどの陸上小動物の他にザリガニなど甲殻類や魚類への影響(*1,6,7,8,9,10)、在来の近縁種であるオコジョとの競合 |
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農林水産業への影響 | 養鶏場、養魚場における食害 | |
人の健康への影響 | 不明 | |
被害をもたらしている要因 | 生物学的要因 | 天敵となるテンの生息数減少(*5) |
社会的要因 | 野ネズミの駆除効果測定のための離島への放飼試験(*4)、本州との交通量の増加、開拓事業に伴う人の生活圏の拡張(*5)、毛皮利用に伴う保護増殖政策(*5) | |
特徴並びに近縁種、類似種 | 同じく外来種であるミンクと営巣場所や餌をめぐる競合関係があると予想される。ニホンイタチが水辺から山間部まで多様な環境に生息できるのに対し、ミンクが水系に強く執着する。在来の近縁種であるオコジョよりも大型で、両種の競争関係が心配される(*3)。 | |
対策 | 狩猟獣(オスのみ) | |
その他の関連情報 | 特になし |
備考 |
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参考文献 | 阿部永 (1994) 「北海道の帰化動物」、北海道の自然と生物 9巻1-9頁 阿部永ほか (1994) 、日本の哺乳類:東海大学出版会 野生生物保護対策検討会移入種問題分科会 (2002)、移入種(外来種)への対応方針について 池田透 (1998) 「移入哺乳類の現状と対策」、遺伝 52巻5号37-41頁 自然環境研究センター (1998)、野生化哺乳類実態調査報告書 哺乳類保護管理専門委員会 (1999) 「移入哺乳類への緊急対策に関する大会決議」、哺乳類科学 39巻1号115-129頁 北海道開拓記念館 (1981) 「野幌丘陵とその周辺の自然と歴史」、北海道開拓記念館研究報告 6巻 犬飼哲夫 (1934) 「鼬の北海道内侵入経路とその利用」、植物及動物 2巻8号1309-1317頁 犬飼哲夫 (1949) 「野鼠駆除のため北海道近島へイタチ放飼とその成績」、札幌博物学会報 18巻3-4号56-59頁 上田明一 (1968) 「本道のニホンイタチについて〔Ⅰ〕」、野ねずみ 85巻1-3頁 上田明一 (1968) 「本道のニホンイタチについて〔Ⅱ〕」、野ねずみ 86巻6-9頁 上田明一 (1969) 「本道のニホンイタチについて〔Ⅲ〕」、野ねずみ 89巻6-8頁 (*1)長谷川雅美 (2002) 「ニホンイタチ」、外来種ハンドブック:地人書館 72頁 (*2)上田明一(1968),本道のニホンイタチについて〔Ⅰ〕,野ねずみ,85巻,号,pp.1-3 (*3)上田明一 (1968),本道のニホンイタチについて〔Ⅱ〕,野ねずみ,86巻,号,pp.6-9 上田明一(1969),本道のニホンイタチについて〔Ⅲ〕,野ねずみ,89巻,号,pp.6-8 (*4)犬飼哲夫(1949),「野鼠駆除のため北海道近島へイタチ放飼とその成績」,札幌博物学会報 18巻3-4号,18巻,3-4号,pp.56-59 (*5)犬飼哲夫 (1934),鼬の北海道内侵入経路とその利用,植物及動物 2巻8号,2巻,8号,pp.1309-1317 (*6)犬飼哲夫(1934),北海道に於けイタチの冬期の食性,日本林学会報,118巻,号,pp.495-496 佐々木浩(1988),イタチ科研究者交流会報告,哺乳類科学,28巻,2号,pp.84-49 (*7)関口恵史・小倉剛・佐々木健志・永山泰彦・津波滉遵・川島由次(2002),座間味島におけるニホンイタチ (Mustela itatsi) の夏季および秋季の食性,哺乳類科学,42巻,2号,pp.153-160 白石肇(1982),イタチによるネズミ駆除とその後,採集と飼育,44巻,9号,pp.414-419 (*8)高木昌興・樋口広芳(1992),伊豆諸島三宅島におけるアカコッコTurdus celaenopsの環境選好とイタチ放獣の影響,Strix,11巻,号,pp.47-57 (*9)長谷川雅美(1986),三宅島のイタチ放獣 その功罪-放獣後数年にして急激に変化しつつある生物的自然-,採集と飼育,48巻,10号,pp.444-447 (*10)樋口広芳・小池重人(1977),三宅島におけるイタチ放獣後の繁殖成功率,野生生物保護,巻,号,pp.81-88 (*11)岡田昌也ほか(2007),神奈川県の複数流域におけるイタチの分布と生息環境に関する研究,神奈川自然誌資料,28巻,号,pp.55-58 (*12)米田政明(1994),イタチ,日本の哺乳類,阿部永ほか,東海大学出版会,p.121 (*13)EnVision環境保全事務所(2000),平成11年アライグマ捕獲等業務委託報告書,20pp |
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