ムラサキイガイ
  昆虫以外の無脊椎動物 ⁄ 国外外来種
ムラサキイガイ
目名 イガイ目
科名 イガイ科
種名(亜種名 ムラサキイガイ
学名 Mytilus galloprovincialis
地方名 カラスガイ,ヒルカイ
カテゴリー 北海道 A3
環境省 要注意外来生物
ワースト100 日本の侵略的外来種ワースト100(日本生態学会) / 世界の侵略的外来種ワースト100(IUCN)
*)亜種が問題となっている場合は、カッコ内に亜種名を記載しています。
●種名が特定できないものについては、「○○○の一種」と記載しています。

導入の経緯

原産地 ヨーロッパ地中海沿岸
導入年代 陸奥湾からの報告前後と考えられ、1950年代
初報告 同定が混乱した期間が長く不明
全国分布 日本全国に分布
道内分布 北海道全域の沿岸部に分布
導入の原因 船底付着による成体、バラスト水による浮遊幼生の侵入

種の生物学的特性

生活史型 春から夏に稚貝の付着が見られる(足糸という繊維状物質で基質表面に固着する。)。
形態 殻長約50mm
繁殖形態 冬季に抱卵放精を行い、浮遊幼生を生じる。
生息環境 浅海域の岩礁、人口構造物(船底、港湾施設)に足糸で付着
特記事項 特になし

影響

被害の実態・おそれ 生態系にかかる影響 内湾岩礁域の潮間帯においてマガキ、ムラサキインコガイ、イワフジツボ、ヒジキなどの在来生物と固着空間をめぐり競争し、それらを被覆して排除し、在来の潮間帯群集構造を大きく変化させた。高密度のイガイ床を形成し、岩礁潮間帯の群集構造を変化させる。在来のキタノムラサキイガイとの交雑が懸念される。大量斃死により、水質、底質の悪化を引き起こす。1950年代以降、他の付着生物を含め、防除対策として有機スズ系の防汚剤が大量に使用され、内分泌攪乱化学物質による巻貝類の雌の雄化をもたらしたとされる。
農林水産業への影響 カキやアコヤガイの養殖場での汚損被害が発生し、除去のためにかなりの労力が費やされている。
人の健康への影響 不明
被害をもたらしている要因 生物学的要因 潮間帯において、生息域が重なる多くの在来生物と固着空間をめぐり競合し、さらに他の生物を被覆し排除してしまう。浮遊幼生期を持つことから、水域を通じて広範囲に拡散し、繁殖力が高く、成長が速いことから、付着基盤を急速に被覆する。
社会的要因 食材「ムール貝」として、開放的な水域で養殖が行われている。科学実験や、ろ過摂食作用を利用した水質浄化にも用いられている。
特徴並びに近縁種、類似種 イガイ科の二枚貝。足糸で基質表面に固着する。キタノムラサキイガイは殻が小型でやや細長く、殻内面の黒い周縁部が真珠層完全に取り囲むことで区別できる。
対策 バラスト水の沿岸での排水禁止
その他の関連情報 特になし

写真・イラスト

備考

備考  

参考文献

参考文献 桒原康裕,1993. ムラサキイガイの正体. 北水試だより,21:14-18.
桒原康裕,2001. 北海道におけるキタノムラサキイガイとムラサキイガイ. 黒装束の侵入者.
自然環境研究センター, 2008. ムラサキイガイ. 日本の外来生物.
渡部終五, 2001. ミトコンドリアDNA塩基配列に基づくムラサキイガイ類の系統解析. 黒装束の侵入者—外来付着性二枚貝の最新学. 日本付着生物学会編.
原康裕, 2002. ムラサキイガイ〜地中海から全世界へ侵入した代表的外来海岸生物. 外来種ハンドブック.
多紀保彦・武田正倫・近江卓 監修, 1999. 食材魚貝大百科 第2巻 エビ・カニ類+魚類.