昆虫以外の無脊椎動物 ⁄ 国外外来種 | ||||
アメリカザリガニ | ||||
目名 | 十脚目 | |||
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科名 | アメリカザリガニ科 | |||
種名(亜種名*) | アメリカザリガニ | |||
学名 | Procambarus clarkii | |||
地方名 | ||||
カテゴリー | 北海道 | A3 | ||
環境省 | 要注意外来生物 | |||
ワースト100 | 日本の侵略的外来種ワースト100(日本生態学会) | |||
*)亜種が問題となっている場合は、カッコ内に亜種名を記載しています。 ●種名が特定できないものについては、「○○○の一種」と記載しています。 |
原産地 | アメリカ、ニューオリンズ |
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導入年代 | 道内へは1970年代から、国内に最初に移入したのは1927年 |
初報告 | 北海道では1988年に音更町の第二鈴蘭川で定着が確認されている。なお、現在の第二鈴蘭川では、アメリカザリガニとウチダザリガニが同所的に定着していることが確認されている(*2)。 |
全国分布 | 全国 |
道内分布 | 音更町、羽幌町、東川町、白老町、函館、帯広、砂川、札幌における生息の情報がある。 |
導入の原因 | 本州へは食用カエル(ウシガエル)の餌として、鎌倉市に持ち込まれた。放たれたのは一度だけ、20尾程度だったが、人間による輸送と放流によって、分布域を急激に拡大し、本道にも侵入した(*1)。 |
生活史型 | 純淡水型、寿命は4~5年 |
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形態 | 全長13cm程度に成長し、生後1~2年で成熟サイズに達する 。 |
繁殖形態 | 春と秋に産卵期があり、孵化するまで母親が抱卵し、抱卵数は数百。より多くのメスが産卵するのは秋口で、メスは卵から孵化した稚エビを腹部に抱えたまま巣穴で越冬して、翌春まで子育てを行う。 |
生息環境 | 温泉水の排水域。本州以南では、河川や湖沼のほか、水田・ため池・農業水路等にも生息している。 |
特記事項 | 繁殖期と非繁殖期で交尾器等の形態が異なる |
被害の実態・おそれ | 生態系にかかる影響 | 雑食性で、水草、水生昆虫などの小動物、小魚、動物の死骸などを食べるので、陸水生態系に大きな影響を及ぼしている可能性がある。特に希少な水草や水生昆虫への影響が懸念されている。同所的に生育するイモリの繁殖行動を制限する事例も報告されている。ザリガニカビ病を媒介し、他のザリガニ類の生存に深刻な影響を与える可能性がある。 |
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農林水産業への影響 | 不明 | |
人の健康への影響 | 生食は危険 | |
被害をもたらしている要因 | 生物学的要因 | 高水温や水質汚濁への耐性がある。雌親が卵やふ化直後の稚エビを保護するため、発育初期における捕食を回避できる。 |
社会的要因 | 身近なペットとして多数が飼育されている。学校教材として各地で利用されている。肉食性観賞魚の生餌としても利用されている。 | |
特徴並びに近縁種、類似種 | 成体の体色は暗赤色であるが、さまざまな色彩変異がある。はさみには赤色の突起が多数ある。ニホンザリガニは体型がずんぐりして額角が太く丸みを帯びている。ウチダザリガニははさみの付け根に白い模様を持つ。 | |
対策 | 温排水の停止、放流禁止の法律化、放流による悪影響の普及・教育 | |
その他の関連情報 | 食材として利用され、フランス料理等の食材として流通している。 |
備考 | 音更町、東川町、白老町の生息地は定着が認められ、温泉の排水が流入している。羽幌町の生息地を再調査したところ発見できず、ここでは温泉の排水が無かった。 |
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参考文献 | 川井唯史, 2003. 知られざるニホンザリガニの生息環境. 甲殻類学, 朝倉 彰編,東海大学出版会, 東京, pp. 256-275, 286-287. 川井唯史・一寸木 肇・JCC・中田和義・小林弥吉・荒井 健, 2003. アメリカザリガニの移入と分布に関する考察. 青森自然誌研究会, 8: 1-8. 中田和義・浜野龍夫・川井唯史・平田昌克・音更川グラウンドワーク研究会・高倉祐一・鏡 担・堤 公宏, 2001. 北海道十勝地方におけるザリガニ類の分布および個体数密度の経年変化. 帯広百年記念館, 19: 79-87. 自然環境研究センター, 2008. 日本の外来生物. (*1) 川井唯史, 2009, ザリガニ ニホン・アメリカ・ウチダ, 岩波書店 川井唯史・高畑雅一, 2010, ザリガニの生物学、北海道大学出版会 (*2)Nakata, K., K. Tsutsumi, T. Kawai and S. Goshima, 2005. Coexistence of two North American invasive crayfish species, Pacifastacus leniusculus (Dana, 1852) and Procambarus clarkii (Girard, 1852) in Japan. Crustaceana, 78: 1389-1394. |
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