コブハクチョウ
  鳥類 ⁄ 国外外来種
コブハクチョウ
目名 カモ目
科名 カモ科
種名(亜種名 コブハクチョウ
学名 Cygnus olor
カテゴリー 北海道 A3
環境省  
ワースト100   
*)亜種が問題となっている場合は、カッコ内に亜種名を記載しています。
●種名が特定できないものについては、「○○○の一種」と記載しています。

導入の経緯

原産地 イギリス諸島、中央ヨーロッパから黒海、小アジア、カスピ海、中央シベリア、モンゴルにかけて不連続的に繁殖する。ヨーロッパ、黒海、北西インド、中国、朝鮮で越冬する(*6)。
導入年代 1975年10月七飯町大沼国定公園にコブハクチョウのつがいが観賞用に導入された。翌年8羽のひなが生まれ、このうち7羽が1977年5月からウトナイ湖に定着し、1978年から繁殖を始めた。ウトナイ湖では、1987年6月に90羽に増加した(*5,8)が、1995年にはその半数にとどまっている(*5)。
初報告 1973年5月22日及び6月10日、美唄市親子沼で頭部と頸が灰白色の1羽が観察されている(*1)。
全国分布 冬季、本州(青森県、宮城県、茨城県)で野生化個体が見られている(*6)。1984年、標識調査によりウトナイ湖のコブハクチョウは、茨城県霞ヶ浦に渡り越冬していることが確認された(*8)。
道内分布 七飯町大沼、ウトナイ湖(*5,7,8,9)のほか、1973年5月、6月美唄市親子沼で1羽記録(*1)。十勝地方南部では、1980年ころから見られるようになり、大樹町キモントウ沼では繁殖した記録もある(*2)。
導入の原因 観賞用に移入した個体の子孫が野生化(*2,3,5,6,8)

種の生物学的特性

生活史型 留鳥、一部夏鳥(*3,6,8)
形態 全長約1.6m、翼開長2.3m。体重8~16㎏。全身白い羽色で、くちばしはオレンジ色がかった赤色、基部に黒色のこぶがある(*5)。
繁殖形態 水辺にヨシや水草を積み重ねて大きな巣を作る。産卵数は5~7個、ときに8~12個の例もある(*4,5)。抱卵は主に雌が行い、雄はなわばりを防衛する(*4,5,8)。
生息環境 湖沼、河川(*3,4,6)
特記事項 日本における野生種の記録は、伊豆諸島八丈島で1933年11月に捕獲された1例がある(*4,6)。

影響

被害の実態・おそれ 生態系にかかる影響 在来種との競合の可能性がある。ウトナイ湖で、1988年からアカエリカイツブリが繁殖期に見られなくなった理由として、コブハクチョウの増加による影響が懸念されている(*9)。ウトナイ湖では1993年の植生調査でヒシ群落の減少が判明したが、その原因として周年生息するコブハクチョウによる茎葉の採食が懸念されている(*7)。
農林水産業への影響 不明
人の健康への影響 不明
被害をもたらしている要因 生物学的要因 不明
社会的要因 本州でも各地に分布しているが、安易な餌づけ等により個体数が増加あるいは維持されている。
特徴並びに近縁種、類似種 本種のくちばしは、オレンジ色がかった赤色で基部に黒色のこぶがある。在来のオオハクチョウ・コハクチョウは、くちばしは黄色で、こぶはない。
対策 飼育個体の逃避・分散を防ぐ。
その他の関連情報 霞ヶ浦では周辺のレンコンを食害したり、自然再生事業で造成された浅場の植生を食べたりすることが問題になりつつある。

写真・イラスト

  酪農大吉田研究室 提供   酪農大吉田研究室 提供  

備考

備考  

参考文献

参考文献 (*1)藤巻裕蔵.1973.美唄の鳥類㈵ 生息期間と生息環境.鳥22:38-46.
(*2)藤巻裕蔵・橋本正雄.1987.十勝と釧路の野鳥 十勝・釧路鳥類目録.日本野鳥の会十勝支部・釧路支部. 
(*3)藤巻裕蔵.2000.北海道鳥類目録改訂2版.帯広畜産大学野生動物管理学研究室.
(*4)清棲幸保.1978.日本鳥類大図鑑Ⅱ.講談社.
(*5)日本動物大百科第3巻鳥類Ⅰ.1996.平凡社.
(*6)日本鳥類目録編集委員会.2000.日本鳥類目録改訂第6版.日本鳥学会. 
(*7)日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリ.1994.ウトナイ沼環境保全基本計画検討調査報告書(1993年度版).日本野鳥の会.
(*8)大畑孝二.1987.ウトナイ湖におけるコブハクチョウの生息状況について.Strix6:80-85.
(*9)大畑孝二.1990.ウトナイ湖の鳥類保護に関する提言.Strix9:191-199.