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  両生類 ⁄ 国内外来種
ニホンヒキガエル
目名 無尾目
科名 ヒキガエル科
種名(亜種名 ニホンヒキガエル ( アズマヒキガエル ) 
学名 Bufo japonicus formosus
カテゴリー 北海道 A3
環境省  
ワースト100   
*)亜種が問題となっている場合は、カッコ内に亜種名を記載しています。
●種名が特定できないものについては、「○○○の一種」と記載しています。

導入の経緯

原産地 種ニホンヒキガエルは日本、亜種アズマヒキガエルも日本
導入年代 1912年以前
初報告 1912年(*1)
全国分布 本州(近畿地方より東)、佐渡島、北海道
道内分布 旭川市、函館市、室蘭市では繁殖が見られ、札幌市、石狩市、江別市、深川市、北斗市、奈井江町、七飯町、妹背牛町、松前町(旧福山町)で個体の捕獲・発見がある(*1,2,4~15)。
導入の原因 不明

種の生物学的特性

生活史型 夜行性で、繁殖期以外はほとんど水に入らない。
形態 体長は4~16㎝、四肢は短く背中に大小のこぶがある。幼生は雑食で腐った葉や動物の死骸、プランクトンなどを食べる。上陸後の幼体や成体は完全な肉食で、生きている昆虫や小動物を捕食する。上陸直後は跳ねることもあるが、成体になるとほとんど跳ねない。
繁殖形態 水たまりや池、湿地、水田などの止水に産卵する。2月~7月に繁殖する。1つの産卵地では1週間くらいの間に一斉に繁殖が行われ、そのおびただしい数のヒキガエルの様子から「蛙合戦」と言われる。ひも状の卵塊を産み、1回の産卵数は1500~8000個。卵は約1週間で孵化。幼生期間は約1~3か月。
生息環境 低地から高山まで幅広い環境に生息する。
特記事項 背中のこぶからは、毒液が分泌される。一番大きなこぶは鼓膜の上にあり、耳腺と呼ばれる。

影響

被害の実態・おそれ 生態系にかかる影響 他の小動物を捕食して生態系を攪乱している。 カエルやサンショウウオの餌となる昆虫類を捕食し、生息に競合を起こすおそれがある。 両生類の安易な移動放逐は両生類の伝染病を蔓延するおそれがある。 毒腺を持ち、ヒキガエルを捕食した動物が死亡したり体調を崩すおそれがある。また、毒のため天敵が少ない。
農林水産業への影響 不明
人の健康への影響 不明
被害をもたらしている要因 生物学的要因 北海道に生息する在来のカエルより大型で、生態系の上位捕食者である。 世界的規模での両生類の減少に関わる感染症としてカエルツボカビとラナウイルスが重要視され、両生類の安易な移動は両生類に広く感染をもたらす病気を媒介するおそれがある。
社会的要因 学校教材やペットなどで流通する。一般的に有名なカエルなので、道民が外来種であることに気づいていないことがある。
特徴並びに近縁種、類似種 繁殖期にはか細い声で「クッ、クッ」という声で鳴き、在来のエゾアカガエルやニホンアマガエルと声が違うため、生息の確認はしやすい。 アズマヒキガエルの別亜種ニホンヒキガエル(北海道では導入は確認されていない)は鼓膜がアズマヒキガエルより小さい。外観で似るカエルは、背中にいぼを持つツチガエル(北海道では外来種)などが挙げられるが、ツチガエルはやや小型で耳腺も発達せず、体格も小さい。
対策 捕獲、卵塊の除去。放逐や移動が起こらないよう教育、啓発。 飼育や管理において逸走しないよう徹底。
その他の関連情報 アズマヒキガエルは平成20年3月時点で野外でのカエルツボカビ感染の陽性報告はない。また、ニホンヒキガエルでも陽性報告は無い(*3)。

写真・イラスト

備考

備考 「ガマガエル」などと呼ばれることもある。

参考文献

参考文献 (*1)斎藤和範(2002)北海道に持ち込まれたカエル類.「外来種ハンドブック」(日本生態学会編),p.232.地人書館.
(*2)前田憲男・松井正文(1989)アズマヒキガエル.日本カエル図鑑.pp14-23.文一総合出版. 
松井 正文(2007) スタイネガー(1907)に掲載された日本とその周辺地域産無尾両生類を見直す.日本爬虫両生類学会誌2007-2.pp.164-172.
(*3)財団法人自然環境研究センター(2008) 平成19年度 カエルツボカビ実態把握調査検討業務報告書.
宇根有美(2009) 両生類のラナウイルス感染症.モダンメディア2009第7号.pp189-197.栄研化学株式会社
生物多様性調査動物分布調査報告書(第5回・両生類爬虫類),p51,67,69,73,100,環境省自然環境局・生物多様性センター
(*4)斎藤和範(2004)北海道に生息するカエル類.「モーリーNo.11」.pp.60-65.北海道新聞社
(*5)斎藤和範他(1996)北海道におけるアズマヒキガエルBufo japonicus formosusの新分布地.旭川市博物館研究報告.2.pp21-23
(*6)河川水辺の国勢調査(河川環境データベース).H10-H19年度.国土交通省・H11,H15年度該当
(*7)(2007)本州以南に生息アズマヒキガエル・旭丘高生物部北区で捕獲.北海道新聞.2007年10月2日朝刊
(*8)(2006)エゾヒキガエル?発見!.北海道空知支庁北部耕地出張所ホームページ
(*9)(2008)アズマヒキガエル?捕獲.北海道新聞.2008年7月10日
(*10)(2008)室蘭・常盤小の中庭の池に今年もカエルの"珍客".室蘭民報.2008年5月27日
(*11)(2008)産卵春の合唱・ヒキガエル里にかえる.北海道新聞.2008年5月27日夕刊(地方)
(*12)(2007)妹背牛・栗原家に「ジャンボカエル」出現.北空知新聞.2007年8月11日Web版
(*13)徳田龍弘(2009)シロマダラ(爬虫類両生類)調査票.B38.シロマダラ調査研究会のデータ
(*14)松井正文(1996)ヒキガエル類.「日本動物大百科5両生類・爬虫類・軟骨魚類」(千石正一ほか編),p29-31.平凡社.
門崎允昭(1981)野幌丘陵とその周辺の自然と歴史,北海道開拓記念館研究報告,6,25-38.
(*15)岡田彌一郎(1930)日本産蛙総説.岩波書店.