ダルマガエル
  両生類 ⁄ 国内外来種
ダルマガエル
目名 無尾目
科名 アカガエル科
種名(亜種名 ダルマガエル ( トウキョウダルマガエル ) 
学名 Rana (Pelophylax) porosa
カテゴリー 北海道 A3
環境省  
ワースト100   
*)亜種が問題となっている場合は、カッコ内に亜種名を記載しています。
●種名が特定できないものについては、「○○○の一種」と記載しています。

導入の経緯

原産地 ダルマガエルは日本(亜種トウキョウダルマガエルは仙台平野、関東平野、新潟県中部・南部、長野県北部・中部)
導入年代 1990年以前
初報告 1998年(*1)
全国分布 北海道、本州(仙台平野、関東平野、新潟県中部・南部、長野県北部・中部)
道内分布 岩見沢市(*1,2,4,5)
導入の原因 学校教材として持ち込まれた可能性がある。

種の生物学的特性

生活史型 成体は水辺周辺で過ごす。幼生は止水に生活し、7月中旬から9月上旬にかけて上陸。
形態 体長は35~85mm。幼生はほぼ植物食だが、上陸後の幼体や成体は完全な肉食で、生きている小動物のみ捕食する。雌は雄よりも大型である。背面には孤立した黒い斑紋が散らばる。
繁殖形態 4月~7月に水田や湿地などで繁殖する。大型のメスは、1シーズンに2回産卵する。1回の産卵数は800~2200個。卵は約1週間で孵化。幼生期間は約1ヶ月半。
生息環境 平地から山ぎわにかけての水田、池などに生息する。
特記事項 トウキョウダルマガエルとよく似たトノサマガエルも道央の一部で定着している。

影響

被害の実態・おそれ 生態系にかかる影響 他の小動物を捕食して生態系を攪乱している。 カエルやサンショウウオの幼体などを捕食し、生息に競合を起こすおそれがある。 両生類の安易な移動放逐は両生類の伝染病を蔓延するおそれがある。
農林水産業への影響 不明
人の健康への影響 不明
被害をもたらしている要因 生物学的要因 北海道に生息する在来のカエルより大型で、生態系の上位捕食者である。 世界的規模での両生類の減少に関わる感染症としてカエルツボカビとラナウイルスが重要視され、両生類の安易な移動は両生類に広く感染をもたらす病気を媒介するおそれがある。
社会的要因 学校教材などで流通する。トノサマガエルとして流通しているものでも、トウキョウダルマガエルが混ざっていることがある。
特徴並びに近縁種、類似種 「ンゲゲゲ、ンゲゲゲ」という声で鳴き、在来のエゾアカガエルやニホンアマガエルと声が全く違うため、生息の確認はしやすい。 外観でトノサマガエル(北海道ではこの種も外来種)によく似る。トノサマガエルは背中や側頭部の黒い斑紋が不規則に融合していることやトウキョウダルマガエルより後肢が長いことが相違点として挙げられるが、判別は難しい。
対策 捕獲、卵塊の除去。放逐や移動が起こらないよう教育、啓発。 飼育や管理において逸走しないよう徹底。
その他の関連情報 トウキョウダルマガエルでは平成20年3月時点で野外でのカエルツボカビ感染陽性報告はない(*3)。

写真・イラスト

備考

備考 トウキョウダルマガエルの本来の生息地でも、トウキョウダルマガエルのことが「トノサマガエル」と呼ばれることがあるため、しばしば混乱が起こりやすい。

参考文献

参考文献 (*1)斎藤和範(1998)北海道におけるトノサマガエル及びトウキョウダルマガエルの新分布地.旭川博物館報告,4:25-29.
(*2)斎藤和範(2002)北海道に持ち込まれたカエル類.「外来種ハンドブック」(日本生態学会編),p.232.地人書館.
前田憲男,松井正文(1989)トウキョウダルマガエル.日本カエル図鑑.pp88-91.文一総合出版. 
松井 正文(2007) スタイネガー(1907)に掲載された日本とその周辺地域産無尾両生類を見直す.日本爬虫両生類学会誌2007-2.pp.164-172.
(*3)財団法人自然環境研究センター(2008) 平成19年度 カエルツボカビ実態把握調査検討業務報告書.
宇根有美(2009) 両生類のラナウイルス感染症.モダンメディア2009第7号.pp189-197.栄研化学株式会社
(*4)生物多様性調査動物分布調査報告書(第5回・両生類爬虫類),p51,67,69,73,100,環境省自然環境局・生物多様性センター
(*5)斎藤和範(2004)北海道に生息するカエル類.「モーリーNo.11」.pp.60-65.北海道新聞社
下山良平(1996)トウキョウダルマガエル.「日本動物大百科5両生類・爬虫類・軟骨魚類」(千石正一ほか編),p37-39,43.平凡社.
白井馨(1989)北海道に生息するカエル類.北海道理科教育センター研究紀要.1.47-50