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  昆虫以外の無脊椎動物 ⁄ 国内外来種
ヌマエビ属(ヌマエビ北中部群/ヌマエビ南部群/ヌカエビ)
目名 十脚目
科名 ヌマエビ科
種名(亜種名 ヌマエビ属(ヌマエビ北中部群/ヌマエビ南部群/ヌカエビ)
学名 Paratya sp
地方名  
カテゴリー 北海道 A3
環境省  
ワースト100   
*)亜種が問題となっている場合は、カッコ内に亜種名を記載しています。
●種名が特定できないものについては、「○○○の一種」と記載しています。

導入の経緯

原産地 本州~沖縄
導入年代 不明
初報告 1998年(札幌市の新川河口・琴似発寒川・星置川で採集されるようになった)
全国分布 亜種ヌマエビParatya compressa compressa は、新潟県・千葉県以西の本州・四国・九州、沖縄諸島以北の南西諸島(日本固有種)に分布。亜種ヌカエビParatya ompressa improvisa は本州中部以北に分布する。ただし近年、異なる分類体系が提唱されている(特記事項を参照)。
道内分布 札幌市。2004 年に厚別川、2005 年に小野幌川、2006 年に豊平川で採集された(*1)。道内で発見されているものはヌマエビ・南部グループ(特記事項の欄を参照)とされている。
導入の原因 観賞魚を飼う際に、”水槽の掃除屋”として一緒に飼うことが多く、魚が死んだ際に残ったエビ類だけが放流される可能性や、釣り餌として大量に販売され、餌として使用されなかったものが放逐された可能性がある。琵琶湖のコアユや本州からのコイなどを導入した際に紛れ込んだ可能性もある(*1)。

種の生物学的特性

生活史型 池や沼などの止水域に生息する個体群では、やや大きな卵を産み(大卵型)、淡水域だけで生息する。河川に生息する個体群では、小型の卵を多数産み(小卵型)、孵化した幼生は汽水域や海に下り生育する(*2)。(ただし、近年新たな分類体系が提唱されている。詳しくは、特記事項を参照)。
形態 体長は約30mm。色彩は透明感があり、模様は変異に富む(*2)。
繁殖形態 不明
生息環境 穏やかな流れの水草や植物の根の間などに生息する(*2)。
特記事項 旧来はヌマエビとヌカエビとして分けられていたが、最近、ヌマエビ・南部グループ(ヌマエビ小卵型)と、ヌマエビ・北部-中部グループとに分ける分類が提唱されており、従来のヌマエビ大卵型とヌカエビは後者に含まれまる。本州・四国・九州内にいるヌマエビは、DNAによってヌマエビ・北部-中部グループとヌマエビ・南部グループに分かれるとされている (*3)。ヌカエビ(ヌマエビ 北部ー中部グループ)は陸封種で、海には降りない。ヌマエビ・南部グループは両側回遊種で、幼生が海に流下する。

影響

被害の実態・おそれ 生態系にかかる影響 ヌマエビ・南部グループは両側回遊種で、幼生が海に流下するので、一度河川に侵入すると他の河川にも広がり、同属の在来種への影響が懸念される。
農林水産業への影響 不明
人の健康への影響 不明
被害をもたらしている要因 生物学的要因 不明
社会的要因 ヌマエビ類は釣りの活き餌、アクアリウムでの観賞用、水槽に付く藻類の”掃除屋さん”として利用され、釣具屋やペットショップで一般に販売されている。ヌマエビ類は北海道では生息しない国内外来種であるが、一般に販売され国外外来種ではないため外来種という認識が薄い(*1)。
特徴並びに近縁種、類似種 複眼後方に「眼上棘」(がんじょうきょく)、歩脚の全てに外肢がある。亜種ヌマエビParatya compressa compressaと亜種ヌカエビParatya compressa improvisa は、額角上縁の棘の入り方により判別できるとされているが、肉眼で確認するのは難しいとされる(*2)。
対策 飼育個体の野外放出を防ぐ。釣り餌としての持ち込みを制限する。
その他の関連情報 特になし

写真・イラスト

備考

備考  

参考文献

参考文献 (*1) 斎藤和範, 岡本康寿, 2008, 札幌市近郊で採集された外来種のエビ類について(短報), 豊平川水系水生底生生物調査報告, pp76-79
(*2)山崎浩二, 2008, ヌマエビ、ヌカエビ, 淡水産エビ・カニハンドブック, 文一総合出版, pp8-9
(*3) 池田実, 1999, 遺伝学的にみたヌマエビの「種」.海洋と生物,21: 299-307.